「料金表の数字をひとつ変えたいんです」
メールを送り、見積もりを待つ。
反映は数日後。修正費は2,000円。
独立したはずなのに、自分の店の入口を自分で動かせない。
この業界で、そんな場面を何度か見てきた。
女性用風俗やメンズエステで独立するとき、ホームページは単なる宣伝道具ではない。風営法の届け出には、料金や連絡先を掲載したサイトのURLを記載する欄がある。
「あれば便利」ではなく、開業のために必要になる。
ただ、独立前後は決めることが多い。
料金、屋号、サービス内容、写真、予約方法、届け出。
ホームページの仕組みまで考える余裕がなく、ひとまず月額制を選ぶ。その判断自体は、ごく自然なものだと思う。
気になったのは、その「ひとまず」が何年も続くことだった。
月5,000円なら、大きな負担には見えない。
けれど料金表の修正、写真の追加、予約機能の導入と、必要なものが増えるたびに支払いも増えていく。
月額が1万円を超えてから、ようやく解約を考える。
そのときに「サイトのデータは渡せません」と知ることもある。
毎月払ってきたのに、最後には手元に残らない。
その構造への違和感から生まれたのが、露花(ろか)の女風・メンズエステ専門ホームページ制作サービスだった。
買い切り8万円。
月額の制作費は0円。
サーバーもドメインも、依頼した本人の名義にする。
作ったサイトは、制作者ではなく店の持ち主に帰属する。
月額制と買い切り型の違いは、「借りた部屋」と「自分の家」に少し似ている。
借りた部屋なら、電球ひとつ替えるにも大家さんへの確認が必要になることがある。自分の家なら、必要だと思ったときに自分で替えられる。
ホームページも同じで、料金を変更するたびに連絡し、待ち、費用を払う形もある。
一方で、自分で管理できるなら、管理画面を開いて、数字を書き替えて、更新する。5分ほどで終わる。
どちらが正しいという話ではない。
管理をすべて任せたいなら、月額制のほうが楽なこともある。
自分では一切触りたくない人にとって、継続的なサポートには相応の価値がある。
ただ、自分で変えたい人まで、ずっと借り続ける必要はない。
数字にすると、違いはもう少しはっきりする。
月額5,000円のサービスは、約1年半で支払総額が8万円を超える。5年間なら30万円。
買い切り8万円の場合、サーバーとドメインの維持費を年約1万円としても、5年間の総額は約13万円になる。
短く使うなら、月額制が合う場合もある。
長く続けるほど、買い切り型との差は開いていく。
詳しい比較は、公式ページの「弐 ─ お金のちがい」のセクションにグラフと一緒に載せている。
ただ、本当に大きいのは金額の差だけではない。
サーバーとドメインが本人名義なら、仮に制作者と連絡が取れなくなっても、サイトは残る。別の制作者に修正を頼むこともできる。
店を続ける限り使うものが、支払いをやめた瞬間に消えるのか。
自分の資産として残るのか。
独立後の身軽さは、こういう小さな所有関係にも表れる気がしている。
もちろん、サイトを渡されただけで、すぐに使いこなせる人ばかりではない。
管理画面には見慣れない項目が並ぶ。
間違えて壊したらどうしようと思うと、料金の一文字すら触りにくい。
だから制作費には、120分のオンライン操作レッスンを含めた。
画面を見せ合いながら、実際に料金や文章を書き替える。
スマホで撮った写真を差し替える。
出勤スケジュールを更新する。
お知らせやブログを投稿する。
触っていい場所だけでなく、触らないほうがいい場所も伝える。
文章が苦手なら、何を書けばいいか迷わないための型も用意する。
「更新できます」と説明するだけでは、自分で更新できる状態にはならない。実際に一度、自分の手で変更してみるところまで一緒に進める。
レッスンが終わったあと、日常的な更新のたびに誰かの返事を待たなくていい。
その状態まで含めて、納品だと考えている。
この作り方になったのは、自分自身が現役の女風セラピストとして現場に立ち、店のサイトを運営しているからでもある。
お客様がどこを見て不安になるのか。
どの情報が見つからないと、予約する手が止まるのか。
本名や住所を出せない事情や、写真の見せ方に慎重になる感覚。
この業界では普通のことでも、業界外の制作者には一から説明しなければ伝わらないことがある。
説明するだけでも、意外と消耗する。
制作を担当する「青」は、女風セラピスト歴2年半、ウェブ制作歴16年。自ら運営する「露花」のサイトも、自分で制作し、更新している。
顔と名前、SNS、運営サイトも公開した。
制作会社の窓口から担当者へ、さらに制作者へと伝わる形ではなく、最初から作る本人と直接やり取りする。連絡はLINEで受け、原則24時間以内に返信する。
匿名性が必要な業界だからこそ、作る側まで見えない状態にはしたくなかった。
8万円に含まれるのは、トップページ、セラピスト紹介、サービス内容、料金表、予約方法、出勤スケジュール、問い合わせフォーム。
検索対策の基本設定、スマートフォン表示への最適化、SSLによる通信の暗号化、120分の操作レッスンも含まれる。
後から必要な項目が判明して、オプション料金が積み上がる形にはしていない。
詳しい内容は、料金ページにすべて記載した。
一般的な制作会社へ依頼すると15万〜30万円ほどになる内容を、8万円にしたのは、安さだけを理由に選んでもらうためではない。
独立直後の負担として現実的でありながら、作る側も途中でいなくならない。
その両方が崩れない金額を考えた結果だった。
だから、万人向けだとは思っていない。
細部までオリジナルデザインにこだわりたいなら、専門のデザイナーへ依頼したほうがいい。
自分では何も触りたくないなら、月額制のフルサポートが合っている。
制作にも2〜3週間ほど必要になる。
もっと安いサービスも、もちろんある。
まとまった費用を今は出せないなら、月額制から始める選択もある。
合わない方法を選んでも、お互いに苦しくなる。
必要なのは、買い切りを選ぶことではなく、自分がどこまで持ち、どこから任せたいのかを知っておくことなのだと思う。
露花のホームページ制作サービスの公式ページには、女性用風俗向けとメンズエステ向け、2種類のデモサイトも置いている。
文章だけでは見えにくい部分も、実物ならわかる。
相談したからといって、依頼する必要もない。
話を聞いた結果、月額制のほうが合っているとわかることもある。
それなら、その選択をすればいい。
ただ、長く続けるつもりの店なら、ホームページを「毎月借りるもの」以外の形で持つこともできる。
独立したのに、店の入口だけが借り物。
その違和感は、残さなくていい。
