家を建てる前に、その土地に家を建てていいかを確認する人はいます。ウェブでそれをやる人は、あまりいません。
レンタルサーバーには利用規約があり、業種によっては契約そのものを断られます。厄介なのは、契約時には何も言われず、サイトが完成して人が来はじめた頃に止められることです。写真も文章も、そのまま消えます。
この記事では、どのサーバーがこのジャンルを制限しているのか、規約のどこを読めば判断できるのか、そして契約前に必ず踏んでおく手順を書きます。すでに契約してしまった方向けの確認方法も最後に入れました。
「うちはアダルトじゃない」は通らない
最初に、いちばん誤解されやすいところから。
メンズエステを運営している方の多くは、自分の店をアダルトサイトだとは思っていません。実際、健全なリラクゼーションとして届出を出し、そのとおりに営業している店がほとんどです。
ただ、サーバー会社が見ているのは自己申告ではありません。規約に書かれているのは、たいてい「アダルトコンテンツ」という言葉ではなく、「公序良俗に反するもの」という、かなり広い表現です。何が該当するかを決めるのは、契約者ではなく運営会社です。
判断材料になるのは、たとえばこういう要素です。
- 施術内容の書き方(どこまで書くか)
- セラピストの写真の露出度
- 「密着」「オイル」「添い寝」といった語の使い方
- 年齢制限の表示があるかどうか
- リンク先にポータルサイトが含まれるか
同じ業態でも、書き方ひとつで判定が変わります。だからこそ、グレーな判定を運任せにせず、最初からこのジャンルを明確に許容しているサーバーを選ぶのが、いちばん安いリスク回避になります。
規約の、どこを読むか
利用規約を頭から全部読む必要はありません。見るのは3箇所だけです。
1. 禁止事項の条項
規約本文の「禁止事項」または「禁止行為」の項を開き、ページ内検索で次の語を順に探します。
アダルト / わいせつ / 公序良俗 / 風俗 / 18歳
この5語のどれにも触れていない規約は、まずありません。ヒットした条文が、あなたの店に当てはまるかどうかを読みます。
2. サポートページのFAQ
本文より、FAQのほうが直球で書いてあることが多いです。「アダルトサイトの運営は可能ですか」という項目が用意されているサーバーは、そこに結論が書いてあります。
3. プラン別の但し書き
同じ会社でも、プランによって可否が分かれることがあります。「アダルト専用プランに限り可」という形式です。通常プランで契約してしまうと、規約違反になります。契約ボタンを押す前に、選んでいるプラン名まで確認してください。
現時点でわかっていること
公式のFAQや規約で確認できる範囲をまとめます。
| サーバー | 状況 |
|---|---|
| シン・レンタルサーバー | 運営可。無修正・児童ポルノなど法令や公序良俗に反する内容は禁止 |
| mixhost | 運営可 |
| カラフルボックス | アダルト対応のプランを提供 |
| FUTOKA | 運営可 |
| コアサーバー | 公式FAQで不可と明記。アダルト可の他社を案内している |
| ConoHa WING | 制限あり。契約前に必ず一次情報で確認 |
| エックスサーバー / ロリポップ / さくらのレンタルサーバ | 一般向けプランでは制限しているのが通例。必ず一次情報で確認 |
この表は永久保証ではありません。 規約は改定されます。実際、数年前と現在で扱いが変わった会社もあります。ここを出発点にして、契約直前にもう一度、公式サイトの規約とFAQを自分の目で開いてください。他人のまとめ記事(この記事を含めて)を根拠に契約しないことです。
グレーなら、契約前に文面で聞く
「たぶん大丈夫だと思うけど」で契約するのがいちばん危ない。事前に問い合わせて、メールで回答をもらってください。電話だけで済ませると、後で何も残りません。
そのまま使える文面です。
お世話になっております。契約を検討している者です。
運営予定のサイトは、メンズエステ(リラクゼーションサロン)の店舗紹介サイトです。掲載内容は、店舗のコンセプト、施術メニューと料金、在籍スタッフの紹介(顔出しなしの写真を含む)、アクセス、予約フォームです。性的なサービスの提供・あっせんは行っておらず、露骨な表現や無修正画像の掲載予定もありません。
こちらの内容が貴社の利用規約に抵触しないか、ご確認いただけますでしょうか。差し支えなければ、判断の根拠となる条項もあわせてお教えいただけると助かります。
回答が「問題ありません」だけだった場合でも、そのメールは消さずに保管してください。判断が覆ったときの唯一の材料になります。
停止されると、実際にどうなるか
想像より軽くありません。
予告が短い、またはない。 規約違反を理由とする停止は、事前通知の義務がない契約になっていることが多いです。ある朝サイトを開いたら消えている、という形で気づきます。
データが返ってこない。 規約違反を理由に契約解除された場合、データの引き渡し義務も免除されている規約が一般的です。写真も、書き溜めた文章も、そこで終わります。
バックアップも一緒に消える。 サーバー会社が提供する自動バックアップは、同じ会社の中にあります。アカウントごと止まれば、バックアップにも触れません。
だから、規約の確認とは別に、月に1回、自分のパソコンかクラウドに手元バックアップを取る運用をおすすめしています。WordPressならプラグインで、写真とデータベースをまとめて書き出せます。これはサーバーを問わずやっておいて損はありません。
契約前チェックリスト
印刷して手元に置いてもいいくらいの、5項目です。
- 公式の利用規約で、5語(アダルト/わいせつ/公序良俗/風俗/18歳)を検索した
- 公式FAQに「アダルトサイトの運営は可能ですか」の項目があるか確認した
- 選んでいるプラン名が、可とされているプランと一致している
- グレーな場合、問い合わせてメールで回答をもらい、保存した
- ドメインは、サーバー会社と別のところで取っている(後述)
5番目だけ補足します。サーバー会社が独自ドメインを無料で付けてくれるキャンペーンがありますが、そのドメインは契約解除と同時に失われることがあります。ドメインは住所です。土地を追い出されても、住所は持って出たい。数百円の話なので、ドメインは別会社で取ることをおすすめします。
すでに契約してしまっている場合
サイトを作ってから気づいた、という相談もよく受けます。慌てて消す必要はありませんが、順番はこうです。
- まず手元にバックアップを取る(これを最優先)
- 規約を読み直して、明確に禁止されているかどうかを確認する
- 明確に禁止されているなら、止められる前に移転する
- グレーなら、問い合わせずに静かに移転を検討する
3番目と4番目の違いは意図的です。グレーな状態で問い合わせると、それがきっかけで「調査の結果NG」という判断を引き出してしまうことがあります。移転する腹が決まっているなら、聞かずに動くほうが安全な場面があります。
移転先が決まったら、サーバー引っ越し機能を使えば数時間で終わります。ドメインを別会社で取っていれば、切り替えは向き先の設定変更だけです。
規約を確認してサーバーを決めたら、次は「地域名+メンズエステ」で見つかるための初期設定に進んでください。順番を逆にすると、やり直しになります。
そもそも自社サイトを持つ必要があるのかという話は、ポータルと自社サイトの役割分担で整理しています。
サーバーの選定から公開まで代行する場合の費用は、こちらにまとめています。買い切り40,000円、月額はかかりません。
